最新号に寄せて

 あけましておめでとうございます。

 今月号では昨年12月号に続き、元外交官の東郷和彦氏が、高市早苗首相の「台湾有事発言」と、12月に発表されたアメリカの新国家安全保障戦略をもとに、変動する米中日関係を解説しました。まず、「台湾有事発言」より前に、中国側が高市首相に対し“念押し”をしていた事実に注目。この発言に前段があったことがわかります。一方、アメリカは新戦略文書でバイデン政権時代の「価値観外交」からの転換を表明すると同時に、安全保障の中心を“西半球”に据えると明言しました。詳細は本誌記事をご参照いただくとして、日本にとって問題は、高市氏の外交が今の世界をどう捉えているのかが不明であることです。本誌記事がわかりやすく、事態を読み解きます。

 1991年のバブル崩壊を起点とすれば、2026年は「失われた35年」を数えます。経済学者の中尾茂夫氏が前号で指摘したよう、1968年から約40年間、GDP世界2位を保った日本は、2010年に中国に抜かれ3位に、2023年にはドイツに抜かれ世界4位に転落。IMFの予測では、2025年にインド、2030年にイギリスにも抜かれて6位への後退が見込まれています。かつての「中流」が「下流」に押し流される形で、貧困というより格差が拡大。日本全体の国民総生産も転落を辿っていることは、この国の進むべき方向が誤っていることの証左といえます。そのような中で、「日米同盟が日本外交の基軸」「原発は必要で排除すべきは二酸化炭素」「日本人は戦争被害者」「健康は病院と薬がつくる」といった多種多様な“神話”がはびこり、論理的・科学的・歴史的・経験的な事実をやすやすと駆逐し続けてきたのが日本の近現代史です。真実に立ち返り、これら神話をひとつひとつ打破していくことは、本誌の役割といえます。

 第2次安倍政権の大スキャンダル「森友事件」の現場である大阪府豊中市の旧森友学園用地は、すでに学園から返却され、国交省=国の所有地となっていますが、国交省はなぜか3度目の調査を行ない、昨年10月3日に「5000トンの埋設ごみが見つかり、撤去費は6億3000万円」と発表。マスメディアがこれを「約2万トンとされた従来の推計量の4分の1に減った」と報道しました。しかし、事件の経緯を追えば、森友学園への「8億円値引き」の根拠とされた埋設ごみが「存在しない」のはすでに明らかであり、ならば今回の「5000トン」は、地中から湧き出るように現れたことになります。これを放置すれば、次の売却においても「不当値引き」が行なわれかねません。森友事件の核心である「埋設ごみ」はどのように偽装されてきたのか。「数字」を追いつつ、真実に迫ります。

 ほか2月号では、山上徹也裁判で飛び出した安倍晋三元首相の「潰瘍性大腸炎」詐病証言の真相、アメリカの巨大メディア再編がもたらす日本への影響、「親の虐待」にばかり注目が集まる裏で根深い児童相談所の闇、「文化を守れ」では太刀打ちできない国際金融の表現規制など、2026年も本誌だけの情報と問題提起を発信していきます。
『紙の爆弾』は全国の書店で発売中です。ぜひご一読ください。

「紙の爆弾」編集長 中川志大