本誌発売直後に投開票される第51回衆院選。今回も情勢調査で「自民優勢」が連日報じられています。マスコミの「世論調査」の“信頼性”は今月号でも取り上げましたが、より大きな問題は、「公表数字をほぼ無批判に受け入れ、それを前提として政治評論を行なうのは、世論誘導に加担している」(「MEDIA KOKUSYO」主宰・黒薮哲哉氏)ことです。
一方、高市政権への対抗勢力の一番手とされる「中道改革連合」。「中道」ということは「右でも左でもない」ということなのでしょう。しかし、すでに「右左」の時代ではなく、「上と下」が重要であることは、一月号などで広岡裕児氏が指摘してきたとおり。高市政権は極右だから支持を集めているのではなく、極右であることが支持をためらう要因とはならないからです。その点では、まだ「生活者ファースト」の方がわかりやすく、利権者=非生活者=上との対決を打ち出せると思うのですが、消費税減税政策すらあまりにしょぼいために、争点を潰されました。なお、広岡氏記事についてはブログサイトnoteの「紙の爆弾」ページでも記事を公開していますので、未読の方はご参照ください。
その結果が、争点なき総選挙。「大義なき解散」というと、はたしてこれまでに大義のある解散があったのか、との疑問がわいてきますが、「高市早苗が内閣総理大臣でよいのかどうか、主権者たる国民の皆さまに決めていただく」という、議会制民主主義を否定する解散理由は、これ自体、日本の政治の仕組みそのものを問い直す必要があることを意味しています。「首相に衆議院を解散する専権があるというのは一種の俗説」(植草一秀氏ブログ)であって、日本の「七条解散」の異常性をまず、認識しなければなりません。「争点」はなくとも高市首相の「目的」は明確なのが今回の総選挙。それゆえ、情勢分析よりも統一教会問題に焦点を当てるべきだと考え、鈴木エイト氏の「TM特別報告」分析を掲載しました。
また「高市早苗が内閣総理大臣でよいのか」とは、はまるでかつてのアイドル総選挙です。見た目重視の候補者が増えているのも、日本の政治状況をそのまま示しています。「それでも選挙になった以上、闘わなければしょうがない」は、ものわかりが良すぎるというのが正直な感覚です。AKB48ならばCDを買わないことで反対の意思表示ができました。下=市民がまとまって、政治そのものに対抗する必要を感じます。
その点で、ベネズエラに学ぶべきは日本です。年明け早々の米国によるベネズエラ急襲をきっかけに、「コムーナ」をはじめとしたベネズエラ独自の民主的政治システムに注目した人は多いのではないかと思います。今月号で掲載したエルナン・バルガス元コムーナ省副大臣の解説が、理解の助けになるとともに、ラテンアメリカの今を知ることの重要性を教えてくれます。そもそも「島国」日本人の海外情勢への関心の低さが、「嫌韓」「反中」に一気に押し流されてしまう近年の傾向の根本原因です。もちろん、解説を読むだけではベネズエラの人々の助けにはなりませんが、少なくとも入口にはなりえます。
ほか今月号では、マスコミが「3月までにマイナに切り替えなければ医療を受けられない」かの政権忖度・誤認報道を垂れ流したマイナ保険証問題、米中日対立の裏に隠された本当の関係、「子どもの自殺」が過去最高となるなかで“薬漬け医療”に誘導する教科書の問題など、今月も本誌ならではの情報をお届けします。
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「紙の爆弾」編集長 中川志大
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