前号の3月号は、総選挙投開票日直前でしたが、「大義なき解散」を論じるよりも問題提起が重要だと考え、旧統一教会の日本政界工作と第一テーマとしました。むしろ選挙後、これが「問われなかったこと」に問題意識を持つ方々から、大きな反響をいただいています。「大義なき解散」は、基本的に「7条解散」に大義があるケースの方が珍しいため、言葉として使い古されている感がありますが、今回の解散総選挙ほど正当性のないものはない、というのは今月号執筆の植草一秀氏の指摘でもあり、究極の自己都合解散といえる理由をまず、憲法の観点も含めて解説しています。
一方、高市自民の対抗軸であった中道改革連合について、選挙前は旧公明党票をいかにこぼさないかが予測の中心になっていました。選挙のたびに鮮やかな票割りをみせる公明党なので、むしろ注意すべきは旧立憲民主党の支持層の動向だと考えていたのですが、結果は今月号レポートのとおり。旧立民票については鳩山友紀夫元首相もユーチューブ「UIチャンネル」の対談で懸念をこぼしていたものでした。結果として旧公明は議席を増やしただけでなく、中道の実権を握って改憲勢力に加わりました。さらに、中道を核とした「第二自民党化」の可能性が見え隠れしています。第一自民と第二自民の二大政党化は本誌でもかねてから植草氏が警戒すべき事態として指摘してきたもの。多党乱立も、俯瞰的にみれば、この最悪のシナリオの一部にあるように思えてきます。
チームみらいの伸長に、不正選挙の可能性を含めた疑念の目が向けられています。その前に「チームみらいとは何か」を見極める必要があり、昼間たかし氏の分析は示唆に富んでいます。AIあんのが原発、PFAS、移民、日米地位協定などあらゆる政策テーマを「NGワード」にしていたことが暴露されましたが、昼間氏の指摘の正しさを証明するかのようです。この中身のなさが、社会にフィットしたために票を集めた可能性があり、そうだとすれば社会のゆ党化と表現できるかもしれません。
前号で野田正彰氏が高校教科書の「精神疾患」記述問題とともに触れた「子どもの自殺数が過去最高を更新し続けている」という事実。未来が描けない日本のあり様を、これほど如実に示す数字はありません。メディアや統計資料は主な動機として「学校問題」「家庭問題」などを挙げていますが、問題は死を選ぶことそのものであって、その原因が大人がつくる社会にあることは言うまでもありません。今回の総選挙についても、子どもたちの目にどのように映っているかを想像すべき。こども家庭庁が1.8億円を計上し自殺対策協議会を設置しても、“薬漬け医療”の入口になる可能性が高く、原因を子どもに求めるのではなく、大人の社会の歪みこそ正さなければなりません。
中川淳一郎氏の連載「格差を読む」。今月号もエプスタイン事件と“はしか”を絡めて「メディアと日本人」を論じています。3月25日には同連載をまとめた新刊『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』を発売予定です。
ほか4月号では、西谷文和氏がイスラエル現地レポートとともに、ガザ虐殺がネタニヤフによるハマスとの裏取引であった「カタール疑惑」を解説。児童相談所(児相)の“保護”の人権侵害を告発する子どもたちの声、メガソーラー問題など、今月号も本誌独自の視点からのレポートを多数掲載しています。
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「紙の爆弾」編集長 中川志大
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