最新号に寄せて

トランプ大統領が「2〜3週間で米軍の作戦を終了する」(3月31日)と語ったアメリカ・イスラエルとイランの戦争。しかし、もはや主導権がアメリカにあるのか疑問です。イランの核開発問題で交渉の進展を止めたいイスラエルが始めた「イスラエルとイランの戦争」という見方もあり、これから実態が見えてくる可能性があります。5月号では、その“起源”と“真相”に真正面から斬り込んだジャーナリスト・乗松聡子氏と鹿児島大学名誉教授・木村朗氏の対談をはじめ、「思想の時間軸」としての戦争、高市早苗政権の対応、トランプ大統領の目的まで、様々な角度から分析を試みました。

イラン戦争について、3月22日付のニューヨーク・タイムズが興味深い報道をしています。いわく「モサド長官が開戦から数日以内にイランの反体制派を鼓舞し、暴動やその他の反乱行為を引き起こし、ひいては政府崩壊にまで至る可能性があると述べた」。情報戦、心理戦はもはや“裏”ではなく、戦争はミサイルやドローンだけではありません。すでに「反戦」の意味も変わっていて、今月号記事のタイトルを「日本もすでに戦場」とした理由でもあります。グーグルが使えないといった中国の国内情報統制を多くの人は独裁体制としてしか理解していませんが、合理性を認めざるをえないような世界情勢の中に、私たちはいます。少なくとも日本の官公庁のシステムがアメリカの巨大テックへの依存を加速していることの危険性が認識される必要があります。

前号の本欄で子どもの自殺増加問題に触れましたが、その対策を問われた高市首相の「7代前の250人のご先祖様」は、旧統一教会の教義との関連性を問わずとも、もっと批判しなければならない発言です。この社会で生きることに絶望した子どもに対して「俺を含む先祖を思って生きろ」とは、そんなことを自分の子どもに言える親がいるはずがなく、政治家としてはこれからの世代のための社会をつくる気がないことの表れです。むしろ、大人として今の社会に責任を感じ、辺野古の海で起きた事故について考え続けています。

暗号資産「サナエトークン」騒動は、高市首相の関与の有無とは別に、今の日本社会が抱えている大きな問題を露呈させたようです。今は「ビジネス右翼」の世界で“信者”からの巻き上げが活発化しつつあるようですが、要するに、お金を集められるなら手段は問わないということ。実体経済の軽視は長らく指摘されるところですが、それもここまで極まったか、との感があります。

さらに今月号では、逮捕者が続発し不正が明らかとなるなかで公正な選挙を求める行政訴訟、高裁でも解散命令が出た統一教会の今後、高市専制を象徴する「国民会議」、エプスタイン事件の本質、3月号に続く成年後見制度問題、自治体を政府が脅す水道民営化など、いずれも重要なテーマについて、深く掘り下げるレポートをお届けします。
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「紙の爆弾」編集長 中川志大