前号(5月号)ではジャーナリストの乗松聡子さんと木村朗・鹿児島大学名誉教授、今月号では堀茂樹・慶応大学名誉教授に、イラン戦争の分析をお願いしました。前号は情報戦・認知戦を中心に解説、今回は「西側」「非西側」そして「日本」の社会のありようと、「グローバリズム」への分析などにも焦点を当てました。さらに第二次世界大戦当時のアメリカと現代中国の比較は、ほかにない観点でありながら、誰もが納得できるものです。
高市首相の「媚米」ぶりが、日米関係を、これまでになくわかりやすく可視化しました。最近、「対米従属」という言葉をよく聞くようになったのは、そのためでしょう。ただし、「だからどうするか」ということでは、いまだ「日本の安全保障は米国抜きには成り立たない」との論から脱せていないように思います。もはや本誌では、「対米自立」はメインテーマの一つとなっています。「日米同盟は存在しない」とたびたび指摘してきたのが一水会・木村三浩代表で、中国脅威論しかり、幻想を打ち砕くことが必要です。
4月28日、「出光丸」のホルムズ海峡通過が代替的に報じられると、翌日に高市首相は「私自身も、(イランの)ペゼシュキアン大統領に対して、こうした我が国の立場を申し入れました」とXにポストし自身の手柄かに語りましたが、一方で同日の在日イラン大使館のポストは「出光興産が所有する日章丸の1953年の歴史的な任務—イラン産石油を日本へ輸送したこと—は、両国間の長年にわたる友情の証として残っています」。もし高市首相のアピールが正確であれば、出光以外の船舶も通過できるはず。またもや根拠のない、いい加減な発言が明らかになっています。さらに「高市人気」も、私たちが自ら考えることをあきらめさせる、ある種の幻想といえるのかもしれません。そう考えると、日本政府の「情報戦」は国内・国民に向けられているようで、それがもっともわかりやすく表れているのがスパイ防止法です。
そして、「パランティア」。その危険性をもっともわかりやすく解説したのが昼間たかし氏の記事で、デジタル主権の問題を正確に捉える必要があります。高市政権がスパイ防止法や国家情報局設置で対策するのは、中国・北朝鮮・ロシアといった「外国」だが、Google、Apple、META、Amazonなどの企業をまったく問題視しないと記事は指摘。むしろこれら巨大テックに、個人がその認知と行動を設計される段階にきています。
また今月号では、足立昌勝・関東学院大学名誉教授が再審制度見直し議論を解説。このテーマを掘り下げると見えてきたのが、日本の冤罪構造でした。自民党内の議論では稲田朋美衆院議員の言動が注目されています。弁護士として最低限の矜持を守ったと評価すべきではあるものの、のいう通り問題はこれからで、今後も主張を続けることができるかに注目する必要があります。
ほか、れいわ新選組が迎える“分岐点”、イスラエルの核攻撃戦略、岡山県警元警視の女性記者に対する「不同意わいせつ事件」冤罪の可能性、京大吉田寮をめぐる裁判と現在など、6月号も独自の視点からのレポートをお届けします。
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「紙の爆弾」編集長 中川志大
