月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

 

 
 本誌は今月号で、創刊15周年を迎えることができました。皆様のご愛読に感謝いたします。記念特集として、創刊年の2005年に起きた、鹿砦社の書籍『タイガースの闇』および、パチスロ(カジノ)大手「アルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)」告発シリーズ書籍をめぐる「言論弾圧事件」の現在に至るまでをまとめさせていただきました。私自身もいくつかの場で言ってきたことですが、この事件は、全国書店で流通している出版物の記述を問題にしながら、「証拠隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」を理由に出版社代表を逮捕したという事実だけで、その異常性がわかるものです。本誌でも触れられているように、かの『噂の眞相』の故・岡留安則編集長も同じく「名誉棄損罪」で罪に問われたことがありましたが、当然ながら逮捕までには至りませんでした。下された判決にももちろん異論はあるものの、なぜ逮捕だったのか、すなわち「本当に“記述”が問題であったのか?」は、いまだに疑問です。その後、鹿砦社と「紙の爆弾」が15年間つぶされなかった一方、権力・権勢のあった側の人々の凋落をみるに、継続すること自体も一つの闘い方だというのは、私の信念の一つになっています。
 
 新型コロナウイルスの感染拡大は、アメリカやヨーロッパ各国が中心となり、長引くことで、これから冬を迎える南半球が舞台となっていくことも懸念されています。そんななか、これまで感染者数が抑えられているように見えた日本では、3月24日の東京五輪延期が決定されるや、東京でそれまで1日約10人の新規感染とされていたのが、25日〜28日は各40人以上、それ以降は1日あたり60人以上の感染が発表されるようになりました。五輪スポンサーのマスコミがこの事実に触れることは皆無ですが、「日本政府の新型コロナ隠蔽」と言っていいと思っています。「隠蔽」と言うにはあからさますぎるとさえ言えるかもしれません。
 
 この新型コロナ問題についても、今月号で特集を組み、可能な限り多角的な視点からの分析を試みました。感染症そのものへの対策も、経済被害への対策も、「命をどう守るか」という問題です。特に、第二次安倍内閣において内閣官房参与も務め(そして辞任し)た藤井聡・京都大学大学院教授が指摘する、「人命殺傷能力はコロナよりも大不況の方が高い」という事実は重要です。しかし、これも東京五輪の延期決定をもって、自粛ドミノが東京都を中心に各地で再開され、人々をさらなる不安に陥れています。そして、本誌で建築エコノミストの森山高至氏が指摘しているように、たとえば建設業界では、中国からの部品供給が途絶えたために建物の完成が遅れる事態が起きています。当然、そこで働く人への支払いが滞るケースも多発するでしょう。政府・行政の自粛要請に関連して、経済的な補償について議論があるようですが、とにかく人が死なないためにどうするか、ということを考えるならば、大企業の内部留保にも言及がなされるべきだと思っています。  今月号も、ぜひご一読をお願いいたします。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大