月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

 

 
 国会では「桜を見る会」「IR疑惑」の追及が野党により続けられています。とくに「桜を見る会」については、本誌もいわゆる“首相枠”である「60番」の招待状を独自入手、誌上公開しました。その配布の過程では、首相からその周辺者に回され、同人物による人脈づくりに使われた経緯が見えてきます。その点で「桜を見る会」そのものが、「首相の名を借りる利権」といえるでしょう。
 
 2020年末年始の日本を騒がせた、日産自動車カルロス・ゴーン元会長の逃亡劇。日本の「人質司法」批判は重要な指摘ですが、一方で日本の報道のドメスティックさが如実に表れた一件でした。今年に予定されている東京五輪は、開催に至る疑惑を覆い隠す“経済効果”の皮算用が見苦しいものの、日本の対外宣伝において重要なイベントであることは間違いありません。その点において、先進国を名乗る日本にとって「人権」というのは重要なワードです。そこにゴーン元会長の指摘は見逃せず、さらに昨年はジャーナリストの伊藤詩織さんへの、安倍首相のお抱え記者によるレイプ被害もみ消し疑惑も裁判で問われ、日本の女性の社会的地位の低さを世界に宣伝することになりました。ついでにいえば、その加害者側の会見に“安倍応援団長”が付き添いで参加したことも、保守論壇を象徴する出来事だったと思われます。外国人労働者や難民受け入れの問題も、海外から注目を集めるところです。本誌2月号で新党憲法9条代表の天木直人氏が「日本を動かすのは外圧しかない」と語っていました。五輪で恥部を晒すのはもはや仕方ないとして、批判や指摘を受け入れ、自省する視点は持たなければなりません。
 
「子宮頸がんワクチン」をめぐる問題も採り上げました。2013年に定期接種が始まった当時、「副反応」の被害報告が全国で相次ぎ、週刊文春が公明党女性議員の製薬会社との間の利権疑惑を報じ、一大騒動となっています。それがいつの間にか問題が解決したかのように、推進の機運が高まっています。あるいは、同ワクチンの危険性への言及が、マスコミの誤報・偏向を象徴するケースとして紹介されることすらあります。ちなみに同ワクチンは2013年に定期接種に含まれて以来、厚労省による「積極的な接種勧奨」が差し控えられただけで、希望すれば無料で受けられることに変わりはありません。この問題を巡るメディアの報道の変化について、レポートしています。
 
 ほか、3月号では、日本版が発売された『写真集 キャンドル革命——政権交代を生んだ韓国の市民民主主義』(コモンズ)の監修者・白石孝氏が、のべ1700万人、すなわち韓国の人口の3分の1が参加し、非暴力かつ無血で政権交代を達成した「キャンドル革命」について、その内容と意義を解説しています。今月号も、ぜひご一読をお願いいたします。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大