月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

 

森友事件を契機に安倍政権が大きく揺れています。本誌でレポートしているとおり、自民党内でもすでに“安倍後”を見据えた動きが各所で始まっているようです。事件そのものについては、森友学園の“愛国教育”を日本会議系の著名人らが絶賛し、安倍昭恵首相夫人の小学校の名誉校長就任、それを原因として実際には存在しないごみを「ある」として行なわれた“8億円値引き”など、疑惑が次々に明らかになっていきましたが、3月に発覚した「文書改ざん」がそれら疑惑の背後の構図を明確に示しました。

「改ざん」が行なわれた事実そのものが、この国の民主主義のレベルはいかなるものか、いや、果たして民主主義があったのかという強い疑念を喚起させます。問題の決裁文書の開示にも中心的に携わった“情報開示のエキスパート”である上脇博之・神戸学院大学教授にインタビューを行ないました。上脇教授は事件の背景のみならず、なぜ安倍晋三首相は暴走するのかについても、重要な指摘をしています。それは首相の取り巻きも同様で、前川喜平前文科省事務次官の中学校での講演に平気で圧力をかけたような“勘違い”にも通じるところがあります。

そして、安倍首相がこだわり続けた憲法改正。仮に首相が早期に退陣したとしても、この間に行なわれた護憲論は継続させていく必要があります。多くの人が、今の憲法を守る必要性を強く実感したと同時に、護憲とは何かについても考える機会となりました。私としては、まだ改憲されていない現状のありがたみを探すのではなく、むしろ今の日本社会が憲法に沿ったものであるのかを確認し続けることこそ護憲であると考えています。一方で、首相の壊憲を後押ししている“保守派”を名乗る勢力の姿が垣間見えたことも、大きなポイントだと思っています。今月号では、この“壊憲”と“自称保守”について、小林節・慶應大学名誉教授と木村三浩・一水会代表に分析をお願いしました。そこには、今後に向けて私たちが何を考えるべきかについて、ポジティブな示唆も含まれています。ぜひご一読ください。

また、今の社会が日本国憲法の精神に沿っているかを考えた時に、私たちにとってもっとも身近なテーマのひとつが労働だと思います。今国会の主要テーマとされたのが「働き方改革」ですが、裁量労働制こそ削除されたものの、人の働き方を権力側から規定しようとする魂胆は変わりません。「労働」を働く者の手に取り戻すためにどうすべきか。全国一般労働組合東京南部の中島由美子書記長が根源的な提案をしています。

同時に、東芝、そして「アリさんマークの引越社」との、労働者側の闘いと勝利についてレポートしました。示唆に富む内容で、併せてお読みいただければと思います。
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大