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最新号に寄せて

  

感染「第三波」に対して、2回目の緊急事態宣言が一定の効果を発揮したと評価されています。しかし、国内の新規感染者数が最大を記録したのは1月8日で7882人。2週間前とされる“感染日”ベースだと昨年12月25日。つまり、緊急事態宣言の前から感染者数はすでに下降傾向にあったという分析もあります。さらにPCR検査の実施件数は1月14日の約9万件を境に下降している、という数字もあります(以上、数字はNHKより)。緊急事態宣言にまったく意味がない、ということはないのでしょうが、これを過大評価すべきではない、ということはいえそうです。
 
一方で、ワクチンは2月下旬に医療従事者を対象に接種を開始、高齢者、基礎疾患がある人を優先して、5月ごろには一般国民への接種も始まるといわれています。しかし、ワクチンさえあればコロナ禍が終わるというわけではないようです。今月号で詳細に解説していますが、まず、イギリスで新たに流行し、日本でも蔓延しつつある変異株の問題。致死率が高いといわれる変異ウイルスにワクチンが効くかどうかは明らかになっていません。また副反応の問題もあります。加えていえば、現在積み上がっているのは海外のデータだけで、日本人のデータは皆無。過去には海外で安全とされた薬でも、日本人が使用すると死者が出た、といった事例があります。薬剤を身体の中で分解したり排出したりする速度が、日本人と外国人で違ったことが原因とされています。少なくともいえることは、ワクチンがすべてを解決するわけではない、ということです。ところが今の政府の感染症対策を見ていると、ワクチンにすべてを賭けているように見えます。
 
もともと日本のコロナ対策は「ウィズ・コロナ」、つまり一定程度、コロナウイルスの存在を許容するようなかたちで行なわれてきました。基本的な対策は、マスクの徹底とか、私たち自身の「自助」に任せられています。一方で、政府は新型コロナ特措法の改定により、命令に応じない飲食店等に対して、店名を公表しようとしています。これは、国が罰するというよりも、国民が相互に監視しあうことによる社会的制裁を狙うものです。あまりに姑息といえますが、菅首相とすれば、これも「共助」の一種と考えているのかもしれません。そうしたなかで、ワクチンの無料接種は、国による「公助」の性質をもったものといえます。政府がこれに全てを賭けているのは、ほかに「公助」といえる対策がないからでしょう。
 
新型コロナについては、本誌3月号では、世界中で経済がダメージを受け続けるなかで上がり続ける株価(日経平均)について解説。いま採るべき経済政策に関する提言も行なっています。また、めっきり報道されなくなってしまった安倍晋三前首相の「桜を見る会」疑獄の現況や、遠山清彦幹事長代理の議員辞職で“清廉”ぶりをアピールする公明党と自公野合政権の動向もレポート。さらに、トランプ・安倍からバイデン・菅でさらに深まる対米従属の行方など、いずれも必読の内容です。今月号もご一読をお願いいたします。
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大