月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

 

安倍首相やその妻を“忖度”したことによる国有財産の不法な処理や行政文書の改ざん、国家戦略特区を悪用した首相のお友だちへの違法な優遇。その実態が次々と明らかになりながら、追及の決定打がなかなか出なかったのが、森友・加計学園疑惑でした。しかし5月21日、愛媛県の中村時広知事が文書を公開。そこには、加計学園の加計孝太郎理事長が2015年4月に安倍首相と会い、岡山理科大学の獣医学部新設について「いいね」と答えたことなどが書かれていました。さらに森友事件でも、廃棄したといわれていた大量の交渉文書が発見され、首相の妻の昭恵氏の“関与”が事実上、決定づけられています。安倍政権退陣に追い込めるか、今月号では“次の一手”について解説しています。
  
ただし、ことは首相を変えればいい、ということではありません。たとえば改憲は自民党の党是です。企業重視の労働政策もとられ続けるでしょうし、原発の再稼働は続けられ、対米追従も度合いをさらに増していくことでしょう。憲法や民主主義に沿ったまともな社会にするためには抜本的な“市民革命”が必要です。“明治150年の市民革命”について、前号では「消費税廃止・原発即禁止」を中心とした基本的な戦術に触れました。今月号ではそれを一歩進め、過去の“市民勝利”の成功事例に基づいた「極意」を紹介しています。安倍首相が権力の座に居座る理由として、民主党政権の失敗がしばしば挙げられます。既存の野党共闘でなく、市民の手で勝つことを考えることは、トラウマからの脱却にも結び付くことでしょう。
 
相次ぐ事件発覚で影が薄れてしまいましたが、財務省の福田淳一事務次官のセクハラ問題は、日本の報道の裏側を暴露した重要なケースだと考えています。問題の根本にあるのがマスコミと体制との「特別な関係」であり、ネタを“あげる”側と“もらう”側の権力関係を固定化しているのが「記者クラブ」といえます。記者クラブで横並びになったマスコミが、権力側からネタをもらって記事を書く。それゆえネタ元には逆らえないという構造です。マスコミ報道の基本的な部分ですから、福田氏の事件ではセクハラの部分は採り上げられ批判されても、セクハラや長時間労働に耐えることを記者に強いる仕組み自体には、触れられることはありません。要するに、問題は今に始まったことではないわけです。さまざまな事例とともに分析を行ないました。
 
そして、日本大学アメリカンフットボール部の反則タックル事件。こちらも問題の試合後に内田正人監督(当時)が「囲み取材」でタックル指示を認めていたにもかかわらず、それを暴露したのが週刊文春であったことが、日本のマスコミのいびつさを示しています。そして、内田監督や学長らが守った“本丸”田中英壽理事長の“黒い交際”に代表されるスキャンダルには触れられることがありませんでした。これこそが日大の体質を示す核心といえます。
 
今月号もバラエティに富んだ一冊となりました。ご一読をお願いいたします。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大