月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

 

森友事件、加計学園問題、自衛隊の「日報」隠し、財務省事務次官の“セクハラ・パワハラ”。大問題が次々と発覚、しかもそれぞれが、本来なら政権を吹き飛ばすほどの内容で、かつ日本の社会構造がもっていた瑕疵を露呈させています。TOKIO・山口達也のスキャンダルもあり、ゴールデンウイークが明ければ国民は忘れるだろうと政権側は考えているかもしれません。だからこそ、一過性の報道とは違う、月刊誌というメディアの役割を意識して制作しています。
 
この状況下、安倍首相はまたしても解散・総選挙を考え始めたといいます。野党の足並みがいつまでたっても揃わない状況で、選挙結果をもって「信任を得た」と言いたいのでしょう。そうさせないために、私たちに何ができるか。今月号では、決して絶望しない人々による、現実的な提言を行なっています。また、“安倍後”をにらむのは野党や市民だけではありません。自民党や、彼らとともに与党を構成する公明党も、今後に向けて動きを早めているようです。そして、見据えるべきは政局だけではありません、安倍首相が火をつけた改憲論議は、そもそも自民党の党是である以上、“安倍後”も続くことが予想されます。これまで積み重ねられた議論を振り返ったうえで、「原則的護憲」のロジックをあらためて確認する必要があるでしょう。付言すれば、ただ今の憲法そのものを守るだけでなく、社会が憲法に沿っているか常に問い続けることこそ護憲であると考えています。
 
ともあれ当面の課題は「もり・かけ・日報」をはじめとした諸問題の追及と真相究明を継続することです。森友事件では埋設ごみ偽装の真相にもみられる「改ざん」を、加計問題では開学した岡山理科大学獣医学部の今後の展望を、「日報」問題では、そこに記されていた「戦闘」がどういうものだったのか、南スーダンの現地から本誌でレポートしています。さらに、これらの疑惑追及における日本の「報道」の少しポジティブな展開についても触れました。
 
ところで、財務省の福田淳一事務次官の問題は“セクハラ”事件としてマスコミは報道していますが、同時に、財務省とマスコミの権力関係を背景にした“パワハラ”の側面が重要であると考えています。だからこそ、財務省の「被害者は名乗り出ろ」という発言は醜悪だし、あちこちで聞かれる「自身で告発してこその#MeTooなのだから、被害者は名乗り出るべき」という主張は無意味であるといえます。そして、この権力関係を補完し、固定化させている「記者クラブ」をはじめとしたマスコミ報道の構造も同時に批判すべきです。マスコミ自身にそれが期待できないのは当然として、同様の指摘があまりに少ないことに大きな違和感を覚えています。次号では、「なぜこの問題が起きたか」という根本的な原因について迫りたいと考えています。
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大