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最新号に寄せて

  

菅政権発足後の初の国政選挙となった衆参3選挙区(補選・再選挙)で自民党が全敗。大阪の新型コロナ感染拡大の惨状に、「人気知事」とされてきた吉村洋文府知事の“化けの皮”もはがれました。これらはいずれも今に始まったことではなく、私物化された政治の惨状やコロナ対策の失敗が目に見える形で表れたにすぎません。4月25日には3度目の緊急事態宣言が発令されましたが、これまでの政府の感染対策の失敗の結果として市民にさらなる負担を強いるというだけでなく、宣言の効果自体も疑問視する声があるうえ、その目的が東京五輪の開催強行にあることも、すでに見透かされています。
 
ただし、東京五輪に関しては、スポンサーであるマスコミは、開催へのハードルについては言及しても、「中止せよ」と主張することはありません。それどころか、五輪中止の「リスク」を強調するばかりです。しかし、本誌今月号をお読みいただければわかるように、今からでも五輪中止は可能であり、開催による「リスク」こそ高いことは明らかです。そもそも五輪を巡る利権は、誘致・準備・延期の過程で電通やゼネコン、一部政治家などがすでにほとんどを吸い尽くしています。そのうえで、インバウンドも見込めず、“無観客”の可能性もある東京五輪に何の意味があるのか。その「真相」を、今月号のレポートが明らかにしています。結局のところ「東京五輪のためのコロナ対策」が「五輪強行によるコロナ対策失敗」となる可能性は大。そして、それが4月の自民党全敗にとどまらない、自公政権へのさらなる打撃となる可能性が大いにあります。いずれにしても、被害者は私たちです。
 
これもマスコミが報じることはありませんが、芸能界でも大きな動きが続いています。とくにモデル・タレントのマリエによる“枕営業強要”告白と、それへの芸能界の対応は、日本社会の現状をも露呈させました。たしかに近年、芸能界に変化は起きつつあります。公正取引委員会のチェックが入ったことで、タレントの独立・移籍については自由化の傾向もみられるようになりました。しかし、今回の騒動には、大手メディアもだんまりを決め込み、名指しされた当事者タレントらも自身で語らず、所属事務所のコメントのみ。さらに確認しておくべきは、昨年に自殺に追い込まれた女子プロレスラーの木村花選手の事例を含め、芸能界の数々の人権侵害がテレビを舞台にしていることです。誰も指摘しない一連の事態の異常性とその背景を、本誌のレポートがひも解いています。
 
4月、わざわざカメラの前でワクチン接種して訪米した菅義偉首相。堂々たる“御用伺い”には閉口するしかありませんが、その一方で、インド・フィリピンは訪問中止。菅首相は「日米両国は自由・民主主義・普遍的価値観を共有する同盟国」とたびたび口にしますが、はるかに長い歴史において、日本はアジアの中で文化を共有してきました。またバイデン大統領が言う「自由」や「民主主義」は旧来的な米国覇権路線における世界の線引きの道具でしかないように見えます。さらに言えば、トランプ煽動に乗った保守勢力やカルト集団が、今度はバイデン路線に乗っかっている構図にも、いぶかしさを感じています。
 
今月号も、ぜひご一読をお願いいたします。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大