月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

  

東京都議選でも争点となった「東京オリ・パラ中止」。選挙期間中も東京都民の「反対」は58%(東京新聞)。それでも菅義偉首相は「いざ始まれば盛り上がるだろう」と考えているのでしょう。6月11日〜13日に英国で開かれたG7サミットでは、「参加国の全首脳が五輪開催を支持」という“フェイク”を無理やり演出し、そして「9月解散、10月総選挙」での勝利を目論んでいるようです。その“G7フェイク”や“菅戦略”の全貌については本誌で解説しているとおり。しかし、それでも隠せないのは「政治とカネ」の問題です。公職選挙法違反で菅原一秀前経産相、昨年末には吉川貴盛元農水相、そして河井案里・克行夫妻と、菅首相と関係が深い人物が短期間に相次いで辞職、いずれも自身の疑惑についてほとんど説明しないままで、菅原氏の辞職の際には菅氏も「首相として回答することはない」と取材を拒んでいます。さらに検察の証拠改ざんが明らかになった森友事件(前号参照)など一連の疑惑をすべて五輪がうやむやにしてくれると首相や自民党が考えているのだとすれば、私たちにとっては、やはり「スピン報道」に惑わされないことこそが重要だといえます。本誌はその一助となるべく、真に重要な情報の提供と問題提起を行なっています。
 
実際、自民党は4月の北海道・長野・広島での国政トリプル選挙をすべて落とし、6月20日の静岡県知事選でも自民党推薦候補が現職・川勝平太知事に大敗しました。当然の結果とはいえ、この敗北がいかに大きいものか、これも本誌解説のとおりです。少なくともいえることは、国家の私物化による政権への不信感、そしてコロナ失政や、静岡県知事選でいえばリニア新幹線の強行という「政策」が原因であるのは間違いありません。
 
こちらも今月号で採り上げたSDGs。マスコミが急に喧伝しはじめたせいで、ブームとして消費されている印象がありますが、「持続可能な開発目標」とはすなわち、現状が持続不可能な社会であるということが、最も重要なポイントと言っていいでしょう。そのうえで、昨年に出版されて話題を呼んだ『人新世の「資本論」』(斎藤幸平著、集英社新書)では、そもそも先進国がそうでない地域を犠牲にする仕組みが環境破壊の原因なのに、そこには手を入れずに誤魔化すのがSDGsだ、といった指摘がなされています。SDGsを考える人こそ、踏まえるべき前提といえます。
 
さらに、コロナ禍でダメージを受けた業種として真っ先に挙がるホテル業界について考えました。とくに雇止めについては、2010年代に急激にインバウンド需要が増加、ホテルが利益を大きく伸ばした際、業界がとった方法に着目すべきかもしれません。コロナ禍のなかで雇止めが行なわれるのは、まさに雇用が“調整弁”だったから。そもそもコロナ前に問題があったのではないかと考えています。
 
ほか、大学入学金をめぐる「教育とカネ」の実態、立憲民主党の党内議論で本多平直衆院議員が口にして物議をかもした「14歳と50代の性交発言」の語られざる背景、そして「名張毒ぶどう酒事件」の新展開など、8月号も盛りだくさんの内容です。コロナ対策における失政、そして安倍晋三—菅義偉政権の本質が明らかになるなかで、本誌への注目も高まっているようです。ぜひ全国書店にてお求めください。
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大