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最新号に寄せて

 

 
大手メディアの協力体制の下、「議論をしない」ことを徹底して現職が勝利した東京都知事選。そののちに、東京都、そして全国で大量感染が判明しました。本誌校了後の7月31日の新規感染者数は全国で1574人を記録しています。7月16日の参院予算委員会で、東京大学の児玉龍彦名誉教授は「この勢いで行くと、8月には目を覆うような事態になる」と国会議員に対して警告していましたが、まさにそのとおりの事態となったわけです。しかし、季節はまだ夏。一般的にウイルスの感染力が高まる秋冬に向けて、さらにとんでもない事態も予測されます。7月30日には東京都医師会の尾崎治夫会長が、今すぐに国会を開いて特別措置法を改正するよう求めましたが、政府が国会を召集するどころか「何もしない」姿勢を改める気配はありません。
 
5月25日に安倍晋三首相が緊急事態宣言を解除する際に、「日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で、今回の流行をほぼ収束させることができました。正に、日本モデルの力を示したと思います」と発言。その後も日本では、この「日本モデル」で感染拡大がほぼ収束した、といって、それ以上の対策をしない言い訳にしてきましたが、日本で死者や重症者数が抑えられてきたのは人々の自粛の結果にすぎません(本当に抑えられてきたとすれば、ですが)。ただし一方で、何かほかの日本に独特な要因があるのでは、という研究はなされ、それを山中伸弥京都大学教授は「ファクターX」と呼びました。そして、この「ファクターX」にしても、結局は「日本モデル」と同様、幾人かの研究者が説を出したものの、よくわかっていない人々、あるいは狙いを持った人々によって、日本はもう大丈夫、第二波は来ない、といういい加減な論の根拠にされているようです。そもそもこの「集団免疫論」じたい、あくまで重症化が抑えられているとした場合の要因に、この種の免疫があるのでは、ということにすぎないにもかかわらず、これをもってコロナ問題は解決するかのように語られていて、さらなる危険を招くおそれがあります。
 
こうして「何もしない」ことを徹底する安倍政権の新型コロナ対策。その背景に何があるのか、いくつかの記事を今月号でまとめました。そのひとつで詳述されているとおり、フランスでは新型コロナ対策をめぐり、元首相らが起訴されたといいます。これは、市民による政策チェックであり、日本でも参考にすべき動きといえるでしょう。ぜひ多くの人にお読みいただきたい内容です。同時に「何もしない」政府に任せるのではなく、市民の側から対策をあみだしていくべき段階にきているとも思っています。その観点からも、重要なレポートを掲載しています。
 
そして、河井案里被告の「金権選挙」(2019年参院選広島選挙区)への、公明党の積極的かつ重要な関与。当時の報道で詳述されているのに、なぜか逮捕以降、振り返られることはありません。また在日米軍基地のコロナ・パンデミックの裏にある日米地位協定「第9条」についての論考も、必読です。
 
 

 

 

「紙の爆弾」編集長 中川志大