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最新号に寄せて

 

 
7月に西日本を襲った豪雨災害は、200人以上の命を奪い、現在も復旧に向けての努力が続けられていますが、困難な状況が続いています。この災害に、政府はどう対応したかを考えるとき、安倍首相も参加した自民党議員たちの大宴会に触れざるをえません。
  
気象庁は7月5日午後2時に「西日本と東日本で記録的な大雨となるおそれ」と発表、午後8時には近畿地方の3万7000世帯に避難指示が出され、土砂崩れなどの被害も出始めていました。その5日夜、自民党議員50人が「赤坂自民亭」なる飲み会を開催。そこには上川陽子法務大臣や、小野寺五典防衛大臣、そして安倍首相も参加。片山さつき参議院議員は「写真を撮るのが忙しくて楽しい」などと、飲み会の様子を写真とともにツイッターにアップしていました。結局、災害対策本部が立ち上がったのは、気象庁の警告から66時間が過ぎた7月8日の午前8時。前日7日朝には、岡山県倉敷市真備町地区で堤防が決壊して一帯が水没、甚大な被害がすでに発生していました。
 
そして、政府の対応の遅れ以上に被害を拡大させたのが、歴代自民党政権の河川に関する誤った政策でした。一言でいえば「人命よりダムを優先してきた」ということです。ダムの治水効果に限界があることを否定する人はいないでしょうが、それが“ダム安全神話”に基づいた、無駄なダム建設への歯止めになっていないことに矛盾を感じます。というのも、堤防補強などのコストも低く即効性のある方法が、すでに提示されていたからです。
 
こうした、私たちの目で見て合理性を欠く政策がまかり通ってきたのは、それが別の“理”に基づいているからだと考えることができます。「もり・かけ」もしかりで、世論調査では毎回、国民の多くが「政府の説明に納得していない」と答えています。それは当然で、たとえば本誌今月号でも、森友事件において“8億円値引き”の根拠となった埋設ごみが「ない」ことを明らかにしているとおり、そもそも納得できる説明などありえません。にもかかわらず、いまだ疑惑解明に至らないのには、私たち自身が、政治の理不尽さを受け入れてしまっていることも理由のひとつなのではないかという気がしています。
 
だからこそ、よってたつものとして、憲法が重要です。現政権が法案や政策の憲法違反を指摘されても意に介さず、解釈改憲を繰り返すのは明らかな憲法軽視ですが、一方で改憲にひたはしるのも矛盾です。つまり、本来の憲法のあり方が無視されているわけで、自民党による改憲を許したときに憲法は憲法でなくなるといえます。自民党による改憲について、本誌であらためて分析しています。マスコミももちろん批判は行っていますが、起きたこと(ニュース)をベースにせざるをえません。本誌は継続的・徹底的に、護憲のもつ意味についても掘り下げ、共有を進めたいと思います。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大