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最新号に寄せて

  

日本では2月17日に始まった新型コロナウイルスのワクチン接種。東京オリンピック・パラリンピックに間に合わせるどころか、いつ全国民に行きわたるのかも不明な状況です。世界を見れば、イギリス政府は3月20日に国内の成人の半数が1回以上の接種を受けたと発表、7月には全成人の接種終了の見込みとしています。同時期にアメリカも、割合では全人口の約3割ですが、接種回数は1億3000万回以上の世界トップ。日本の遅れは明らかです。そして、ファイザーを抱えるアメリカと日本は「強固な同盟国」のはずですが、日本へのワクチン供給は、なぜか同社ベルギー工場から。しかもワクチン確保は「EUの動向次第」という他人任せ……。しかしマスコミは、接種の遅れによる不安は口にしても、その理由には突っ込みません。そこには、本誌記事が指摘するような日本政府の“怠慢”があるにもかかわらず、です。さらに言えば、そもそもワクチンは一度打てば終わりというわけではなく、今後の“ニューノーマル”におけるワクチンビジネスで、世界が大手製薬会社の喰い物となっていくのでは、という疑念もぬぐえません。
 
1月に「ワクチン接種があってこそ東京五輪も可能」と語っていた河野太郎担当相は、1カ月後には「接種日程に五輪は考慮しない」と“ノーガード”宣言。なぜそこまで開催にこだわるのかについては、本誌4月号がわかりやすく解説していますので、ぜひご一読いただきたいと思います。さて、そんな有様で本当にやるのかと思われていた聖火リレーが3月25日にスタートしました。アスリート・元アスリートも辞退するなかでのリレーは、いったい誰のための東京五輪なのかをかえって浮き彫りにしているようです。そして、今からでも中止すべきと考える人ですら「オリンピックを何だと思っているのか」との疑問を禁じえなかったのが、週刊文春が暴露した、電通出身・佐々木宏前“総合統括”の「渡辺直美をブタに」事件。これについて、芸人・元芸人たちが「アイディアのひとつにすぎない」と佐々木氏を擁護したうえ、渡辺の容姿が「芸人としての武器」であり、それを取り上げるべきではないと主張していますが、前者については、これが演出トップのオリンピックへの認識を示しているという事実で十分で、後者についても渡辺が2018年に「GUCCI」の公式インスタに登場して炎上した際に「どんな体型でもファッションを楽しめる素敵な時代になったと思ったら」と返して賛同を得ています。そしてそのまま、お笑い芸人としても笑いをとり、人気を集めています。
 
そんな“文春砲”に毎週のように揺れているのが永田町ですが、当の国会が隠蔽・改ざん・虚偽にまみれているのは周知のとおり。森友事件と「桜を見る会」事件では、政権側にそれぞれ「139回」「118回」の虚偽答弁が公的機関によって認定。総務省接待事件でも、次々と嘘が明らかになっています。しかし、国会での虚偽答弁に罰則はなく、それゆえに放置されているのが現実です。そんななか、状況を変えるために動き出した人々がいます。彼らが投じた“一石”について、今月号でレポートしました。ほか、今月号では山田真貴子内閣広報官の後釜・小野日子氏を独自取材、さらに2025年までに小中学校で100%の普及が目指されている「デジタル教科書」の危険性や、精神科医が行なった数々の犯罪についてもレポートしています。今月号も、ぜひご一読をお願いいたします。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大