月刊誌『紙の爆弾』は毎月7日発売です。

最新号に寄せて

  

ロシアによるウクライナへの軍事行動が始まって以降、妙に元気な安倍晋三元首相。「憲法改正」「核共有」「敵基地攻撃能力=打撃力」「軍事費増」といった言葉が次々と彼の口から出ています。同時に自民党の安全保障調査会は防衛費について、5年以内に国内総生産(GDP)の2%以上を目指して増やすことなどを岸田文雄首相に提言。自民党が「安倍路線」で動いていることを示しています。まさに危機に乗じて日本の「軍国化」を図る策動といえます。これが「日本を守る」ことと関係がないことは明らか。5月号では自民党に在籍した前衆院議員の安藤裕氏(7月参院選に出馬)が、「日本政府は“有事”に国民を守れない(守らない)」ことを、2年間のコロナ政策をもとに断言しています。安藤氏のインタビューは、今月号で後編を掲載。“悪税”消費税について、また安藤氏が掲げる「政府の赤字はみんなの黒字」という言葉の意味を、きわめてわかりやすく解説しています。前後編を通読すれば、なぜ人々が困窮しているのか、そして、いまの日本がとるべき経済政策について、理解できる内容となっています。
 
ウクライナの危機を拡大しないためには早期の停戦を目指すべきですが、西側世界や日本は同国への武器の供与を増やすばかり。米国防総省が4月に公表した、ウクライナへの軍事支援概要によれば、バイデン政権の発足以降で総額24億ドル、ロシアの侵攻開始後で17億ドル以上の支援が決定済みとされます。ロッキード・マーティンやレイセオンなど軍需産業の今年の株価の推移予想は7%増、という数字も出ています。6月号では、ロシア・ウクライナ問題の背後の米国の“戦略”について、2つの論考が具体的な指摘を行なっており、どちらも必読です。
 
日本政府は4月8日、在日ロシア大使館に在籍する外交官ら8人の国外追放を決定。初めてのことで、8人は20日に日本を発ちました。駐日大使は含まれていないものの、対話の窓口を閉ざすことは愚の骨頂。和田春樹・東京大学名誉教授らロシア研究者14人が提唱する、日中印による停戦仲介案が、日本が目指すべき将来を考えるうえでも正しいと考えていますが、その実現はますます遠のきました。追放の対象となったのは情報収集を担当する職員らだというものの、日本が米国側「国際社会」の一員であるとのアピールをすることに、あるいはそれ以外に何のメリットがあるのか、理解できません。
 
また6月号では、小川敏夫参議院議員が立憲民主党・共産党の共闘について提言。れいわ新選組から参院選に出馬(比例代表)する辻恵氏も登場しています。ほか、参院選につながる新潟県知事選についてもレポートしました。ただし、ウクライナ情勢で国内世論が一色に染まっているなか、これから始まる選挙戦はどうなるのか。本誌で挙げられているような、いま日本国内で本当にすべき議論がかき消されてしまわないか、今から不安です。
 
創刊17年。今月号で本誌は200号を迎えました。今後の継続刊行においては依然として苦境にありますが、皆様のご購読とともに、かけていただいた励ましのお言葉にも勇気づけられています。いまの情勢のなかで、本誌はその存在意義をさらに発揮していきます。今後もご期待ください。
 
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大