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2018年1月号に寄せて

 

12月号に引き続き、今月号でも10月の総選挙について採り上げました。前号では“もり・かけ”隠し解散に始まったこの総選挙で「問われなかったこと」について考えました。結果としても、自民党にとって“笑顔なき圧勝”といわれ、その後の報道では野党側の混乱ばかりがクローズアップされています。いったい何だったのか、政権与党に、ただただいいようにされてしまった、と思われる向きも多いかもしれませんが、決して「何もなかった」わけではありません。
 
ポイントのひとつは、この選挙で得をしたのは誰か、ということです。まず、安倍首相が森友・加計学園問題の追及をまぬがれるための解散だったのは間違いありません。しかし、一方で浮かぶ疑問は「首相以外に誰か得をした人はいるのか」ということです。実際、自民党のなかで「首相に振り回されている」という不満を持つ人は少なくないようです。「首相だけが得をした選挙」と言っていいのではないでしょうか。
 
もう一つ着目したいのは、公明党の敗北です。創価学会という支持母体を持ち、政権のキャスティングボートを握っているといわれる公明党。自民党議員でも、公明党の協力がなければ当選できなかった議員は少なくありません。それが今回、6議席を減らし、しかも比例得票数も、700万票をきりました。さらに、公明党候補者が立った選挙区で、無効票の割合が際立って高いことが指摘されています。これを創価学会員たちの「無言の抵抗」と見る向きがあります。暴走する安倍首相への追従に不満を持っている、ということです。
 
そこでキーワードとして浮かんでくるのは、やはり「憲法9条」ではないかと考えています。創価・公明でいえば、創価学会・池田大作名誉会長の「絶対に憲法9条だけは変えてはいけない」という言葉。安倍政権下での集団的自衛権の行使容認や安保法制について、反対を表明する学会員が多数いることは、すでにマスコミでも報道されているとおりです。
 
そんななか、本誌前号までを読んでいただければわかるとおり、本誌は改憲派の主張も採り上げています。それは、今こそまっとうな憲法議論をするチャンスではないかと考えているからです。安倍首相の“壊憲策動”が姿を見せて以降、良くも悪くも憲法に注目が集まるようになりました。少しずつ、議論される機会も増えています。そこで少なくともわかるのが、9条、そして憲法全般が、単なる看板ではなく、具体的な影響を社会に及ぼしてきた、という事実です。その確認なしに改憲を議論しても無意味であろうと考えています。
 
そして、11月のアメリカ・トランプ大統領の訪日。日本のマスコミでトランプ・安倍関係が「親密」と伝えられましたが、日本の対米従属だと感じた人も多かったでしょう。そんな日米関係について、小泉政権の時代に「固定化」され、安倍政権下で「永久化」されたと、日米関係の現状について天木直人・元駐レバノン日本国特命全権大使が本誌で分析しています。ぜひお読みください。
 

「紙の爆弾」編集長 中川志大